2025年4月6日「剣に依らず、力に依らず」加山献牧師

イエスを裏切ろうとしていたユダは、「わたしが接吻するのが、その人だ。それを捕まえろ」と、前もって合図を決めていた。ユダはすぐイエスに近寄り、「先生、こんばんは」と言って接吻した。イエスは、「友よ、しようとしていることをするがよい」と言われた。すると人々は進み寄り、イエスに手をかけて捕らえた。(マタイによる福音書26章48節~50節)

 

シェイクスピアの作品『ジュリアス・シーザー』の中に、「ブルータス、お前もか!」という有名なセリフが出てきます。カエサルが自分を裏切ってクーデターを起こそうとしている一団の中に、最も信頼を寄せていた部下を見つけた時に叫んだ言葉です。

主イエスも同じように大切な弟子に裏切られるという経験をしましたが、主は淡々と次のように語ったのです。「友よ、しようとしていることをするがよい。」(50節)

主はご自分の人生に委ねられている神さまのご計画を知り、従順に生きられたのです。そして今まさに自分を裏切ろうとしているユダに対して愛を込めて「友よ」と語りかけました。

 

そこで、イエスは言われた。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。」 (マタイによる福音書26章52節)

 

群衆は主を捕らえるために剣や棒を持ってきました(47節)。この人々の姿は、剣に依らず、力に依らずひたむきに十字架の道を進む主イエスの生き方とは対照的に描かれています。力と力がぶつかり合うこの世の中にあって、主イエスは愛によって人間の罪と死に打ち勝ち、十字架の勝利をもたらされたのです。