2023年1月22日「小さな種から始まる命」加山献牧師

「天の国はからし種に似ている。人がこれを取って畑に蒔けば、どんな種よりも小さいのに、成長するとどの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる。」(マタイによる福音書13章31節~32節)

 からし種はとても小さなものです。その小さなもの大きな木を生み出していく、と主は言われました。それは「どんな種よりも小さい」とあります。それはあまりにも小さくて、手に持ってみると指の間からこぼれ落ちてしまうほどです。100粒のからし種でようやく1グラムになります。

 からし種は、イエスさまの地上での公生涯を表しています。イエスさまは素晴らしい働きをされました。けれども全世界を救いに導く、という大きな視点からすると、とても小さな働きでした。

 イエスさまが公の活動を開始されたのはおよそ30歳の時でした。イエスさまが十字架にかかるまで宣教活動をされた期間は約3年間、多く見積もっても4年だと言われています。活動の場所はパレスチナに限定されていました。ほとんどがガリラヤの周辺と、祭りのたびごとに向かうエルサレムが宣教の場所でした。

 そしてイエスさまが死と復活の後に残していかれたものも、同じように小さく、目立たないものでした。弟子たちとほんのひと握りの人々で、そこまで多くはありませんでした。その中に、有名な人、高い地位についている人はほとんどいませんでした。私たちと同じような、普通の人々の群れでした。

 ところが彼らは、今日まで続く、終わりのないムーブメントの担い手となりました。この小さな群れから、今日世界中に広がる教会が生まれました。

 小さいということは、価値がないということでない、とイエスさまは言われます。ごく小さなからし種に、大きな成長力が潜んでいます。

 私たちの人生において、神さまとの出会いがある時、私たちの内に小さな信仰が始まります。そのからし種のような小さな信仰から、希望と愛が芽生えてきます。このからし種は大きく成長し、空の鳥をかくまうようにもなります。私たちの小さな信仰は、やがて隣人のためにも用いられるようになるのです。