2022年8月7日「希望は失望に終わることはありません」加山献牧師

 「そればかりでなく、苦難をも誇りとします。わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、 忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。」(ローマの信徒への手紙5章3節~5節)

 この手紙はパウロという人によって書かれました。受け取り手はローマの教会の人々でした。当時、ローマは世界最大の都市でした。しかし、クリスチャンが信仰を守っていくには厳しい場所でもあったのです。

 ローマ帝国の市民には皇帝礼拝が義務付けられていました。ローマ皇帝を神として崇めさせることで巨大な帝国が束ねられていたのです。けれども教会に集う人々は、イエス・キリストだけが唯一の王であり、唯一礼拝すべき神であるという信仰を掲げていたので、目をつけられ、厳しい迫害を受けるようになっていたのです。

 パウロはこの手紙の中で、そのような苦難をも誇りとする、と言っています。なぜなら、苦難は私たちの内側から、何か新しいものを生み出すために与えられた、神様からの贈り物だからだ、というのです。苦難こそが、私たちの自我を砕き、私たちを謙遜にし、私たちを清め、私たちを建てあげ、私たちの内側に新しい人格を創り出すものなのです。

 忍耐は練達を生み、練達は希望を生みます。そして希望はわたしたちを欺くことがない、とパウロは綴ります。新改訳の聖書では次のように訳されています。「この希望は失望に終わることはありません。」

 なぜそのように言い切ることができるのでしょうか?5節後半にはこのように書かれています。「わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。」 私たちの希望の土台は、神様がどれほど私たちを愛してくださっているのか、という一点にあるのです。すなわちそれはキリストの十字架です。今も注がれて続けている神さまの愛に背を向けず、心を開き、これを全て受け入れる者でありたいと願います。