2022年3月6日「十戒から十字架へ」加山献牧師

出エジプト記20章17節

「隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」

 十戒の後半部分にあげられているようなことは、誰もが皆、言われなくてもわかっているようなことでした。しかし神様は、あえてそれを石の板に書き記し、それをモーセに授け、永遠に守るべき掟として定めました。そして今日も、私たちはその言葉を聖書という書物を通して読んでいます。私たちが何度もここに立ち帰り、何度もこの言葉に聞いて軌道修正していくことができるために、そのようにしてくださったのです。

 人間の歴史は戦いの歴史であったといわれるほど、人類は戦いに明け暮れてきました。誰が考えてもいけないことだとわかっているようなことを、人類は何度も繰り返してきました。

 私たちは今、テレビやインターネットのニュースに流れている、ウクライナに侵攻する軍隊や、幼いこどもたちの涙を見るたびに、十戒に従いきれない人類の姿を思い知らされています。そして、そのような私たちの罪のために、キリストは十字架にかかられたのだ、ということを思い知らされています。

 およそ侵略戦争とは、もっとほしい、という欲求の果てになされています。もっと多くの土地を手に入れるため、もっと多くの力を手に入れるため、もっと多くの富を手に入れるため、侵略戦争がなされるのです。しかしそれらは、欲しがってはならないもの、自分のものにしようとしてはならないものです。

 ヘブライ人への手紙13章5節にはこうあります。「金銭に執着しない生活をし、今持っているもので満足しなさい。神御自身、『わたしは、決してあなたから離れず、決してあなたを置き去りにはしない』と言われました。」

 ここに私たちを悪い欲求から解き放つ秘訣があります。決して私から離れず、決して私を置き去りにしないと約束してくださった方によって、私の心が満ち足り、満たされることによって、私たちはあらゆる悪い欲求から、もっとほしい、もっとほしいという思いから解放されるのです。