2025年9月21日「逃れの町」加山献牧師

 主はヨシュアに仰せになった。「イスラエルの人々に告げなさい。モーセを通して告げておいた逃れの町を定め、意図してでなく、過って人を殺した者がそこに逃げ込めるようにしなさい。そこは、血の復讐をする者からの逃れの場所になる。」(ヨシュア記20章1節~3節)

イスラエル社会では、殺人の罪を犯してしまった場合、亡くなった人の親族が加害者に復讐をして良い、という決まりになっていました。これは「血の復讐」と呼ばれ、当時の社会秩序の一部でもありました。しかし、誤って人を死なせてしまった場合まで同じように扱うと、不当な報復の連鎖が生まれてしまいます。そこで神さまがモーセを通して定めたのが「逃れの町」の制度です。民数記35章、申命記19章、ヨシュア記20章で、「逃れの町」についての規定が詳しく述べられています。カナン全土に6つの「逃れの町」が定められました。事故などで誤って人を死なせてしまった人は、急いでその町に逃げ込み、町の門で長老たちに事情を話します。受け入れてもらえた場合は裁判を受けるまでその町に住むことが許されます。この「逃れの町」はただの法律制度以上の意味を持ちます。神の正義と憐れみを表しているのです。罪に対する責任は問われるが、誤って人を殺した者の命は守られる、ということです。ところで、新約聖書には次のような言葉があります。

「もし私たちが自分の罪を言い表すなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。」(第一ヨハネ1章9節)

ただの一度も失敗することなく生きていける人は一人もいません。私たちの人生にも赦しが必要です。私たちの人生にも「逃れの町」が必要です。救い主イエス・キリストの十字架のかげに身を寄せて悔い改める時、私たちは新しい人生を生きていくことができるのです。