2025年8月31日「ふるさと眺めて のぼりゆく日まで」加山献牧師

「モーセは死んだとき百二十歳であったが、目はかすまず、活力もうせてはいなかった。」 (申命記34章7節)

申命記34章は、『申命記』の最終章であり、モーセの旅立ちについて記されています。モーセの生涯は120年であったとありますが、彼の人生はちょうど三つの区分に分けることができます。

 

【最初の40年: 豊かさと力・・・そしてすべてを失う】

彼はエジプトで奴隷の子として生まれました。神さまの不思議な導きによりエジプトの王女にひろわれ、エジプトの王子として育つ機会を得ました。当時の最高の教育を受け、エジプトにおける最高の立場を受けたのです。しかしモーセは、同胞の苦しみを見て堪えられなくなりました。40歳の時、彼は同胞の民の解放の為に力を奮いましたが、同胞ヘブライ人の解放は失敗に終わりました。そして命を狙われ、エジプトから逃亡することになったのです。

 

【次の40年: 小さな幸せと訓練の時、そして再献身】

その後ミディアンに身を寄せて、チッポラと結婚し、羊飼いとして40年を過ごしました。しかし80歳になった時に神さまと出会い、召命を受けるのです。「わが民を救い出しなさい。」 それが神さまの呼びかけでした。まさに若さ、力、豊かさを失ったところからの再出発でした。

 

【後期の40年: 荒野の40年、エジプトからカナンへ】

ここからが一般的に知られているモーセの生涯です。彼は神さまの命に従い、民をエジプトから導き出すことに成功しますが、その後も苦難の連続でした。しかしモーセは最後まで神さまと共に生き、苦難を耐え忍びました。人生の最後の時まで自分に与えられた神さまの目的に仕えました。これこそが悔いのない人生です。